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コミュニケーションの軸で考えるのならば、リッチコンテンツの"リッチ,とは動画やFlashを多用し、派手に演出することではない。 動的コンテンツで派手に見せることも必要な要素かもしれないが、それはあくまで主従でいうと「従」。
「主」は何をどう伝えるかにある。 何を伝えたいか、何が目的なのかを明確にしないまま動画コンテンツを作っても、本当の意味の"リッチ=良質な"コンテンツにはならない。
そこで鍵となるのが「クロスコミュニケーション」という発想だ。 「とりあえず動画」を使っただけでは成果はでない目的に合わせ、動画をどう活用するかがポイントにクロスコミュニケーションとは、簡単にいうと、マーケテイングメッセージとユーザーをうまくコミュニケーションする形で」情報を発信することだ。
ここでは、クロスコミュニケーションを強く意識してWebサイトの制作をしてきた。 企業サイトでのFlashやリッチな表現手法に強さを発揮する同社の代表取締役社長のK氏は、「Webも店舗と同じ。
エンドユーザーをどうもてなすことができるかがポイントです」と話す。 訪れたユーザーが気持ちよくサイトに滞在できるよう注力する−そのために動画が必要なら使う。

これは、「とりあえずトップページにFlashを置いて」といった「とりあえず動画」という発想と逆をいく。 おもてなしを形にした同社の表現手法は、当然、目的によって異なる。
例えば、2006年に手がけた「AllTOYOTASpecialSiteトビラを開けよう」というTの特設サイトでのこと。 このキャンペーンでは、既存の固定概念を払拭させ、若い世代に対してT車への親近感を持ってもらうことを目的とした。
そこで出たキーワードが「インパクト」だった。 Webでもこのキーワードをいかに表現できるかが課題になった。
そのために取られた手法が、1.2MbpsのFlashストリーミング配信であった。 キャスティングを採用し、アクセスすると同時に彼らの動画が12Mbpsのフルスクリーンでドーンと立ち上がる。
1.2Mbpsという帯域の動画配信は、通常なら、「通信環境によっては、見られない人もいるかもしれない」と敬遠するのが一般的だ。 しかし、このキャンペーンではあえて1.2Mbpsのオープニング動画を選択した。
インパクトというテーマに沿い、「こんなサイト、初めて見た!」という驚きや期待を若い世代に向けて発信し、どきどき感やTの持つ可能性にワクワクするような期待感を持たせることを狙った。 そのためにフルスクリーンで展開し、大迫力の動画で始まった後のサイト内のコンテンツにはFlashによるミニゲームなどを用意。
ランキングも導入することで、サイトを訪れた人が、より熱中し、何度も訪れるための"仕掛け"も準備した。 「実際に、ユーザーの1回あたりのサイト滞在時間平均が8分に達しました。
1分以内ですぐ閉じられることが多いインターネットにおいて、この数字はあまり例がないでしょう」と、K氏は語る。 画の使い方も異なる。
サイトでは、アクセスすると動画ではなく美しい写真と音楽が表示される。 「MJGarageStudio」というコーナーではカスタマイズを体験することができる。

ユーザーがMAJESTAの車種を選び、ボディのカラーを選び、インテリアを選び、必要なスペックを選んでいく。 一つひとつの要素を決定するたびにBGMで流れている楽器の種類が増えていきユーザーの高揚感をかき立てていく。
すべての選択を終了するとBGMはフルオーケストラとなり、「CustomizedbyYOU(はじめにユーザーが入力した名前)」の文字があらわれ、選んだ車の価格と写真がユーザー自身の手によって作り上げられた音楽とともに表示される。 Webサイト上でのカスタマイズを体験したユーザーに対し、クルマの諸機能や商品解説が動画でじっくり展開されていく。
これは、MAJESTAという商品コンセプトに沿い、「自分だけの一台」を求めるターゲットへのメッセージ訴求だからこそ選ばれた表現だ。 「店舗でも滞在時間が長いほど購入の確率や金額が上がりますが、Webも同じことです。
かつては、テレビや新聞で広告を見たユーザーは店舗へ行きカタログをもらって、購買へと進んでいた。 現在、その店舗の役割を365日24時間開いているWebサイトが担うケースが増えてきた。
当然Webサイトでも店舗と同じように、快適さや楽しさを提供し、ユーザーの滞在時間を長くすることが大事になります。 動画はそのために有効な手段の一つだと思っています」と、K氏は話す。
もう一つ、具体例を挙げよう。 オリックス・クレジットのだ。
無店舗展開で低金利を実現しているオリックス・クレジットは、Webサイトが大きな申し込み窓口の一つとなる。 そこで、少しでも加入者を増やすために、申し込みの入力フォームに動画によるナビゲーターをつけた。
それには理由がある。 これまで申し込みフォームというと、HTML形式のものが主流。
これは、入力項目をユーザー側が確認し、一つひとつ埋めていくというもの。 操作ミスでやり直しというケースもあり、途中で挫折する人も多い。
「さんざん入力したあげくに、送信ボタンを押したら『ここが違います』と一覧が並ぶ。 対面ではそんなことは絶対にありえない。

けれども、このサイトでは必要な箇所だけ記入するように促し、間違えれば都度教えてくれる」と、K氏はこれまでの入力フォームに苦言を呈す。 そこでWebサイト上で人物が音声と動作で説明するPIP表現を採用した。
PIP導入で、ユーザーは入力を間違えても、動画のナビゲーターがその場で指摘してくれる。 ちょうど、実際の店舗で、申し込み用紙に記入しているときのように、人が前にいて、入力すべき内容や方法を教えてくれるのだ。
音声によるナビゲーションだから、初心者でもストレスなく申し込み完了までたどり着ける。 「動画=おもてなし」、ではない。
おもてなしの一つが、動画を使用した表現手法であるということだ。 今後、企業サイトでは、こうしたコンセプチュアルな部分を明確にしたサイトが成功を手にすることができそうだ。
オリックス・クレジットでは、入力フォーム慣れしている人向けには、人物の動画のなPlPを利用して作られたオリックス・クレジットのVIPローンカードの申し込みフォーム。 Flashの特性もフル活用し、非常に使い勝手の良い入力フォームに仕上がっているいFlashフォームを用意、またFlashプレイヤーを持っていないユーザー向けにはHTML版も用意した。

ネット動画の「見え方」は通信環境やWebブラウザー、パソコンの性能といったユーザーの環境に大きく左右される。 内容が同じコンテンツでも、ユーザーの動作環境を想定して幅の広いバージョンを用意することで、Webサイトを訪問する誰もがストレスなく利用できるようになる。
100人の訪問者が来たら100人にストレスなく満足してもらう。 それが、Webサイトを店舗とみなすO・クレジットのケースでの「おもてなし」の一つであった。
今では当たり前ともいえる視聴環境へ対する気配りだが、このコンテンツがリリースされたのは2004年の8月頃。 同様の配慮は一般的にあまり見られなかった。
もちろん結果も出ている。 O・クレジットが手にしたのは、申し込み完了率の20%アップ、誤記率の大幅な低下という成果である。
一つの問題点がほかの良さを損なわせてしまうK氏はWebサイトを「足し算ではなく掛け算で決まる」と評価する。 「足し算では、途中に何度ゼロが出てきても現状維持です。

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